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猫の甲状腺機能亢進症|食欲が増しても体重が減る?
猫の甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。特に10歳以上の高齢猫に多く、猫の内分泌疾患では最もよく見られる病気です。
甲状腺機能亢進症を放置すると、心臓や腎臓などの臓器に大きな負担がかかり、最悪の場合、寿命が縮まってしまう可能性もあります。
今回は、猫の甲状腺機能亢進症の原因や症状、そして治療方法について解説します。
■目次
1.猫の甲状腺機能亢進症の主な症状
2.甲状腺機能亢進症の原因と発症リスク
3.診断方法:獣医師による検査の重要性
4.治療方法とその選択肢
5.家庭でのケアと注意点
6.治療後の経過と予後
7.まとめ
8.よくある質問(FAQ)
猫の甲状腺機能亢進症の主な症状
甲状腺機能亢進症にかかると、猫には次のような変化が見られることがあります。普段の様子と少しでも違うと感じたら、注意が必要です。
・多飲多尿:水を飲む量が増え、尿の量も増加します。
・食欲が増しても体重が減る:ご飯をよく食べているのに、体重がどんどん減っていくのが大きな特徴です。
・活発になり、興奮しやすくなる:いつも以上に動き回ったり、興奮しやすくなったりします。
・毛並みが悪くなる:被毛がパサついて艶がなくなり、全体的に毛並みが乱れることがあります。
・嘔吐や下痢:消化器系に問題が出て、嘔吐や下痢が見られることがあります。
これらの症状は、甲状腺機能亢進症だけでなく他の病気でも現れることがありますので、注意が必要です。
甲状腺機能亢進症の原因と発症リスク
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こり、主な原因は甲状腺にできる良性の腫瘍や組織の過形成(細胞が増えること)です。
この病気の発症リスクとしては、高齢であることが大きな要因で、品種や性別による違いはほとんど見られません。
また、環境や食事が影響している可能性も考えられていますが、詳しい原因についてはまだはっきりと解明されていない部分もあります。
診断方法:獣医師による検査の重要性
診断には、血液検査で甲状腺ホルモン(T4)の値を測ることがとても大切です。加えて、甲状腺の触診や、他の診断方法も併せて行われることがあります。
この病気は早期発見と早期治療が鍵となりますので、愛猫が高齢になるにつれて定期的な健康診断を受けることをおすすめします。
治療方法とその選択肢
甲状腺機能亢進症には、いくつかの治療法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、獣医師としっかり相談しながら、愛猫にとって最適な治療法を選ぶことが大切です。
<内服薬治療>
メルカゾール(チアマゾール)などの抗甲状腺薬を使って治療を行います。ただし、薬には副作用のリスクもあるため、注意が必要です。
<外科的治療>
甲状腺を摘出することで、過剰なホルモン分泌を抑える方法です。手術後の管理が必要ですが、効果的な治療法のひとつです。
<食事療法>
ヨウ素を制限した特別な食事を与えることで、甲状腺ホルモンの生成を抑える治療法です。日々の食事管理が重要になります。ヒルズのY/Dなどを当院で処方しております。
家庭でのケアと注意点
愛猫が甲状腺機能亢進症と診断されたら、家庭でのケアがとても重要です。
まず、獣医師から処方された薬は、必ず指示通りに与え、副作用がないか注意深く観察しましょう。特に、薬を自己判断で中止したり量を変えたりしないように気をつけてください。
また、食事管理も大切です。獣医師のアドバイスに従い、愛猫に適したご飯を与えることが大事です。もしヨウ素を制限する食事が必要であればその指導に従い、しっかりと管理しましょう。
さらに、定期的に診察や血液検査を受けることも大切です。病気の進行具合を確認しながら、必要に応じて治療を調整していくことが、愛猫の健康を守るためにはとても大切です。
治療後の経過と予後
適切な治療を受ければ、猫の予後は一般的に良好です。
ただし、高齢の猫では腎疾患を併発していることが多く、治療を進める中でこれらの問題が明らかになることもあります。
そのため、治療後も引き続き、愛猫の体調に注意しながら、定期的に健康チェックを行うことが大切です。
まとめ
猫の甲状腺機能亢進症は、高齢の猫に多く見られる病気ですが、早めに発見し、適切な治療を行えば、元気に過ごせます。
日々の生活の中で愛猫の様子に気を配り、何か気になることがあれば、すぐに獣医師に相談することが大切です。愛猫の健康を守るために、早めの対応が何よりも重要です。
よくある質問(FAQ)
Q.猫の甲状腺機能亢進症は治るの?
A.完全に治すことは難しいですが、適切な治療を続けることで、症状をうまくコントロールできるようになります。これにより、愛猫が快適に生活できるよう、生活の質を高めることが可能です。
Q.治療にはどのくらいの期間が必要?
A.治療は基本的に生涯にわたることが多く、定期的に検査を受け、状態に応じて治療内容を調整していくことが大切です。
Q.予防法はある?
A. はっきりとした予防法はありませんが、定期的に健康診断を受けることで早期発見につなげることができます。
愛猫のことで気になることがあれば、いつでもお気軽にご来院ください。
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