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膝蓋骨（パテラ）脱臼は、特に小型犬に多く見られる病気です。後ろ足をかばって歩く様子や、三本足で歩くような動作が見られる場合には、膝蓋骨脱臼の可能性があります。

この病気を放置すると、症状が進行してしまい、重症化すると手術が必要になることもあります。そのため、普段の様子で少しでも気になる動きや異変を感じた場合は、できるだけ早く動物病院で相談することをおすすめします。

今回は、犬の膝蓋骨（パテラ）脱臼の症状や治療法について詳しく解説します。

■目次
1.膝蓋骨（パテラ）脱臼とは？
2.どんな犬がなりやすい？
3.症状
4.診断方法
5.治療方法
6.予防と日常的なケア
7.まとめ

 

膝蓋骨（パテラ）脱臼とは？

膝蓋骨脱臼とは、後ろ足の膝の前方にある「膝蓋骨」（膝のお皿）が正常な位置から内側または外側に外れてしまう状態を指します。

膝蓋骨は、大腿骨の「滑車溝」という中央の溝にはまっているのが正常な状態ですが、膝蓋骨脱臼が発症すると膝蓋骨がこの溝から外れてしまい、膝関節の動きがスムーズにいかなくなります。

膝蓋骨脱臼が発症する原因としては、遺伝的要因、外傷、筋肉の異常などが関与していると考えられています。

この病気は、重症度に応じてグレード1から4までに分類されます。

・グレード1：軽度で、膝蓋骨を手で押すと外れるが、自然に戻る状態。
・グレード2：膝蓋骨が頻繁に外れるが、手で戻せる状態。
・グレード3：膝蓋骨が常に外れているが、手で戻すことが可能な状態。
・グレード4：膝蓋骨が常に外れており、手で戻すことができない状態。

 

どんな犬がなりやすい？

膝蓋骨脱臼は特に小型犬に多く見られる病気です。チワワ、トイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどが代表的な犬種で、これらの犬は遺伝的に膝蓋骨脱臼を起こしやすい傾向があります。

また、年齢や体重も関係しています。若い犬は成長期に骨や筋肉の発達が不十分な場合があり、これがリスクとなることがあります。

一方で、肥満も関節に負担をかけるため、発症リスクを高める要因です。
さらに、過度な運動や無理なジャンプなどが原因で発症するケースもあります。

 

症状

膝蓋骨脱臼の主な症状としては、三本足で歩く、ピョンピョン跳ねるような歩き方が挙げられます。
これは膝蓋骨が外れることで痛みや違和感から、後ろ足をかばうために起こる動きです。また、足を完全に地面につけなくなり、スキップするような動きをする場合もあります。

症状が進行すると、歩行がさらに困難になり、膝関節全体の変形や筋肉が萎縮することがあります。これにより、犬の生活の質が大きく低下してしまう可能性があります。

さらに、膝蓋骨脱臼を発症した犬は痛みのサインを見せることがあり、以下のような行動が見られることがあります。

・後ろ足を頻繁に舐める
・足に触られるのを嫌がる
・活動的だった犬が急に動かなくなる
・散歩や遊びを嫌がる

いつもと様子が違うと感じた場合は、早めに動物病院で診察を受けることが重要です。

 

診断方法

動物病院での診察では、まず触診によって膝蓋骨の位置や外れ方を確認します。
さらに、X線検査や触診を行い、膝蓋骨や関節の状態、骨の形状や関節周辺の異常を詳しく調べます。

これらの診察結果をもとに、膝蓋骨脱臼の重症度をグレード1から4に分類し、適切な治療方針を決定します。

 

治療方法

膝蓋骨脱臼の治療方法は、症状の重さや原因によって異なります。

＜軽度の場合＞

軽度の膝蓋骨脱臼では、関節の負担を軽減するため、関節によいフードに変更したり、痛みや炎症を抑える投薬をしたりすることで対応します。
また、グルコサミンやコンドロイチンを含むサプリメントを使用して、関節の健康をサポートします。

 

＜重度の場合＞

症状が重い場合や、日常生活に支障が出ている場合には手術が必要になることもあります。
手術では、膝蓋骨を正常な位置に固定したり、関節の安定性を向上させたりするための処置が行われます。手術が必要かどうかは、症状の重さを慎重に考慮して判断します。

手術が検討される主な基準として、膝蓋骨が頻繁に外れる、痛みが強い、歩行に支障が出ているといった症状が挙げられます。

手術後はリハビリテーションが必要となり、数週間から数ヶ月にわたって適切な運動や休養を組み合わせながら経過を観察します。

 

予防と日常的なケア

＜運動と食事管理で健康をサポート＞

膝蓋骨脱臼を予防するためには、適切な運動量と食事管理が欠かせません。
過度な運動や肥満は膝関節に負担をかけるため、適度な運動を取り入れ、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。

 

＜生活環境を整える＞

関節に負担をかけない生活環境を整えることも大切です。滑りやすい床にはカーペットを敷く、滑り防止機能のついたワックスをかけるなどの工夫をしましょう。

 

＜定期的な健康診断で早期発見を＞

定期的な健康診断も、予防の一環としておすすめです。早期に異常を発見し、適切な対策を講じることで症状の進行を防ぐことができます。

 

＜サプリメントで関節のケアをプラス＞

さらに、グルコサミンやコンドロイチンを含むサプリメントを与えることで、関節の柔軟性を保ち、膝蓋骨脱臼の予防に役立てることができます。

 

＜体重管理で膝への負担を軽減＞

適切な体重管理も、膝関節への負担を軽減するために欠かせません。特に小型犬の場合、わずか0.1kgの体重増加でも関節に大きな影響を与えることがあります。

 

まとめ

膝蓋骨（パテラ）脱臼は、特に小型犬に多い病気です。疑わしい症状が見られた場合は、すぐに動物病院で診察を受けましょう。適切なケアや予防策を講じることで、好発犬種でも関節の健康を維持し、症状の進行を防ぐことができます。

また、定期的な健康診断を受けることで、早期に異常を発見し、適切な治療を進めることが可能です。日々のケアと予防で、大切な家族が快適に過ごせる環境を整えていきましょう。

 

姫路動物病院
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