腎臓病
慢性腎臓病について
-
慢性腎臓病という病気をご存じでしょうか?
慢性腎臓病は、特に猫に多い病気で、高齢猫の最大3頭に1頭が患っていると言われております。腎臓病の中でも、腎毒性のある物を食べてしまったり、結石などが原因による急性腎臓病は、治療により治る可能性がありますが、慢性腎不全は残念ながら完治することはできません。
ただし、早期発見、治療をすることで腎機能の保持期間が長くなることが分かっています。完全に治すことはできないものの、症状を抑えることは不可能ではありません。飼主さんと獣医師が協力して治療することにより慢性腎臓病のワンちゃん・ネコちゃんでも、正常に近い生活を送ることができます。 -
こんな症状ありませんか?
- 水を飲む量が増える
- おしっこが増える
- 食欲が無く、ご飯を食べない
- 毛並みが悪くなる
- 体重が減少し、痩せる
-
症状とステージ
ステージ① 代償期
腎機能の50%以上が残存する無症状の段階です。血液検査等でも異常値は見つかりませんが、尿検査で尿比重の低化や蛋白尿、腎臓の形状の異常が認められる場合もあるため、6歳を超えた頃から定期的な血液検査をお勧めします。
-
ステージ② 腎機能障害期
多飲多尿、食欲の低下が起こってきます。この時期が治療上、最も重要な時期になります。
この段階で再生医療や食事管理、適切な治療を投薬を行うことができれば、腎機能低下の進行を抑えることに期待できます。 -
ステージ③ 狭義の腎不全期
さらに腎機能の低下が進むと老廃物を尿中に排泄できなくなり、循環する血液の中に老廃物が蓄積することとなります。この状態を尿毒症と呼びます。
血液検査ではBUN,CREなどが上昇します。血液中で高濃度になった有害物質により、食欲の低下、口内炎、嘔吐が見られます。体重が低下し、毛並みは悪くなります。また、腎臓は赤血球の成熟に必要なエリスロポエチンというホルモンを分泌していますが、弱った腎臓では正常に分泌することができなくなるため、貧血が起こります。
この段階でも生命維持に必要な腎機能が残っていれば、まだ再生医療によりQOLの維持、改善が期待できる段階です。 -
ステージ④ 末期
嘔吐や下痢などの消化器症状,嗜眠傾向や痙攣などの神経症状など多臓器不全の状態となり、積極的な治療なしでは生命維持が難しくなります。
当院の慢性腎臓病の治療について
-
まず、最初に静脈からの点滴あるいは皮下補液を行い、少しでも老廃物の濃度を下げます。後述するお薬も経口投与します。
幹細胞培養上清液を更に浄化濃縮させた抽出物を静脈注射あるいは皮下注射します(週1回)。追加で、NMNをできれば静脈注射、難しければ皮下注射で体内に吸収させます(週1回)。
また、ご家庭での治療として、十分な量の皮下補液をご自宅でお願いしております。
皮下補液を初めて行う際は緊張されるかと思いますが、続けていくうちにネコちゃんも飼主様も慣れ、スムーズに対応できるようになる方が多いです。皮下補液の方法については、医師よりレクチャーをさせていただいておりますので、ご安心ください。 -
-
検査・お薬
-
血液検査
完全血球計算や血液生化学検査を行います。
- 全血球検査(CBC)
- 対称性ジメチルアルギニン(SDMA)
- 血中尿素窒素(BUN)
- クレアチニン(CRE)
-
経口吸着剤
ネフガード・プロネフラなど
-
造血剤
エリスロポエチン・FCVリキッドなど
-
血管拡張薬
(ACE阻害剤)フォルテコールなど
-
腎臓を保護する
お薬セミントラ・ラプロスなど
-
-
治療方法
食餌療法
食餌療法では、リンを制限することがポイントです。リン(P)を制限することで、通常食に比べ2.5倍寿命が延びることが報告されています。また、蛋白質を制限することにより尿毒症とさらなる窒素の制限(蛋白質に多く含まれている)につながります。
適切なホームケアができれば、慢性腎臓病のネコちゃんでも、ある程度快適な生活を送らせることができます。
腎臓病の子向けのご飯は多々ありますので、その子の年齢や、身体の状態、味の好みなどを考慮して選んでいただき、ストレスの無い食餌療法を行っていきましょう。 -
その他の治療方法
診察後、必要に応じた血液検査などを行い、その結果を踏まえ、治療計画をご提案いたします。
-
皮下補液
-
BNMN静脈注射
-
幹細胞培養尿宿駅静脈注射
-
生菌入りサプリメント
-
NMNサプリメント
-