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  • ペットPASS

猫のFIP治療

FIP(猫伝染性腹膜炎)
について

  • ネコちゃんは、多くの場合、猫コロナウイルスに感染しています。とはいえ、このウイルスは弱毒性である場合が多く、症状がまったくないこともありますし、軽い腸炎で嘔吐や下痢を起こす程度であることがほとんどです。
    しかし、猫コロナウイルスは突然変異を起こすことがあります。変異によって猫コロナウイルスが猫伝染性腹膜炎ウイルスとなった場合、FIP(猫伝染性腹膜炎)を発症して重篤な状態に至ることがあります。
    FIPを発症すると死亡に至る率が非常に高く、特にウェットタイプは平均余命がとても短いです。また、猫伝染性腹膜炎は多頭飼いの環境下やブリーダーの飼育施設、シェルター施設などネコちゃんが多いところでの発生率が高い疾患です。
    ⻑年、効果的な治療はないとされてきましたが、近年は新たな治療法も出てきていますので、是非お早めにご相談ください。
    ※料金については、ご相談いただいた際にご説明させていただきます。

  • 猫のFIP治療に対する当院の想い

    FIP(猫伝染性腹膜炎)は、もう治療ができる時代です。治療すれば助かる命なら、全力で助けたい。そんな思いから、姫路動物病院ではMUTIAN協力動物病院として猫のFIP治療に力を入れております。日本ではまだ未承認動物用医薬品ではあるものの、当院ではMUTIANによって250症例以上のFIPのネコちゃんを助けてきた実績があります。
    ネコちゃんのFIPでお悩みの際は、まずはすぐにお電話ください。

FIP(猫伝染性腹膜炎)の症状

  • FIP(猫伝染性腹膜炎)はウエットタイプ、ドライタイプ、混合タイプに分類されます。
    分布としては、ウエットタイプは全体の6~7割、ドライタイプは3~4割程度とされており、ウエットタイプが多数派です。両方のタイプに見られる症状として、「食欲がない」「元気がない」「寝る時間が増える」「3日以上発熱が続く」「抗生物質の効果がない」などがあります。

  • ウェットタイプ(滲出型)

    ウエットタイプ(滲出型)は、FIP(猫伝染性腹膜炎)ではドライタイプ(非滲出型)より多く見られます。
    食欲不振・脱水・黄疸・貧血や、腹水に起因する腹部膨満・胸水に起因する呼吸困難などの症状が見られ、ドライタイプより進行が早い特徴もあります。腹水や胸水はとろみを持つ⻩色です。

  • ドライタイプ(非滲出型)

    FIP(猫伝染性腹膜炎)のドライタイプ(非滲出型)は、ウエットタイプ(滲出型)よりも進行が遅いことと、眼や肝臓・腎臓に肉芽腫が主な特徴です。
    ドライタイプ(非滲出型)は、中枢神経系や眼に病変が認められるケースが多く、脳・脊髄では病変部位により様々な神経症状(運動失調・行動異常・旋頭運動・眼球振盪・痙攣・意識障害・後躯麻痺など)が見られます。また、眼が侵された場合には、前肛感冒に炎症性滲出・滲出物の貯留とブドウ膜炎脈絡膜炎や全眼球炎を起こし、失明に至ることもあります。
    滲出型では、病変の存在する臓器の臨床症状が分かりづらいため、定期的な検査や健診を受けることをお勧めします。

  • 混合タイプ

    ウエットタイプとドライタイプの両方の症状が混在します。
    例えば肉芽腫の形成と腹水が同時に起こったり、ブドウ膜炎と胸水が見られたりすることもあります。また、ウエットタイプより治療が難しいことも知られています。

  • FIP(猫伝染性腹膜炎)の
    症状の段階

    • 初期段階の症状

      感染の初期段階では、発熱・食欲不振・嘔吐・下痢・体重減少などの非特異的な症状が見られます。

    • 中期段階の症状

      食欲不振・著しい体重減少・倦怠感・腹部の腫れ・栄養失調・貧血・⻩疸・持続的な発熱・眼の症状が見られます。

    • 後期段階の症状

      食欲不振・著しい体重減少・嗜眠・腹部の腫れ・息切れ・栄養失調・貧血・⻩疸・持続的な発熱・慢性的な体調不良・眼の症状・神経症状などが見られます。

当院の猫のFIP治療
(MUTIAN)について

  • FIP(猫伝染性腹膜炎)は、治療が困難で、発症すればほぼ死に至る疾患として知られてきました。しかし、近年 MUTIAN(ムティアン)という薬剤が特効薬として報告されています。
    FIPは、多くのネコちゃんが持っている猫コロナウイルスが変異して発症することを特徴としているので、どんなネコちゃんでもかかるリスクがあります。また、多頭飼いの環境下で多く見られることや、 2歳以下の若いネコちゃんに発症しやすいことも知られています。
    この病気に対しては様々な治療方法が試されてきましたが、過去にはめぼしい報告はありませんでした。しかし、MUTIAN(ムティアン)を使用した症例では治療が上手くいった報告が多数見られることから、FIPの治療に大きな変化が起こる可能性が出てきました。
    とは言え、まだMUTIAN(ムティアン)を扱っている動物病院は少数です。また、使用にあたっては飼主様に治療のご協力をお願いすることも求められますし、特定のガイドラインに沿って使用する必要などがあります。

  • MUTIANの問題点

    MUTIAN(ムティアン)は日本では未承認動物用医薬品という扱いで、広告・販売・譲渡は違法行為とされています。ここで言う「販売」とは、診療を伴わない個人間でのネット上の売買などです。また、SNSやクラウドファンディング等を利用して広告を行うことも禁じられています。
    一方、動物病院で処方することは合法ですのでご安心ください。
    その他にも、未承認医薬品のため、他の薬剤に比べて治療費が高額となってしまう点があります。

  • MUTIANの副作用

    日本では現状、数千件を超える治験がありますが、10%程度は一時的な肝酵素値が上がった例や、下痢の症状がみられた報告がされています。錠剤のXraphconnでは、顔の周辺での脱毛・被毛の脱色(色が変わる)・ネコちゃんの耳が垂れる症例があり、その経緯は調査を待つ必要があります。注射薬として長期間投与する場合は、注射した部位に炎症や痛み・高結・潰瘍が見られるケースもあります。

FIP(猫伝染性腹膜炎)の予防

  • FIP(猫伝染性腹膜炎)の予防の基本は、ネコちゃん間での感染拡大を防ぐことにあります。
    猫コロナウイルスは、乾燥した状況でも7週間生存できる特徴を持っています。とはいえ、市販の消毒薬やアルコールなどで外層のエンヴェロープに化学的効果をもたらして不活性化することは可能です。

  • 飼主様の手指の消毒

    猫伝染性腹膜炎ウイルスは、一般的な消毒薬やアルコールで無害化できる特徴を持っています。そのため、ネコちゃんに触れるときはアルコール消毒を行う習慣を身につけることをおすすめします。また、病歴不明のネコちゃんにうかつに触れるのもリスクと考えましょう。

  • 密飼い環境の改善

    FIP(猫伝染性腹膜炎)は、ネコちゃんを多頭飼いしている環境下で発生しやすく、保護施設や繁殖施設で特にリスクが上がります。
    またトイレを共有するとネコちゃん間で伝染しやすいので、頭数分以上のトイレを用意することを推奨します。さらに、ネコちゃんが排泄した後に、早めに排泄物を除去することも感染防止につながります。

  • 排出猫の隔離

    糞便を複数回検査して、慢性的にウイルスを含む便を排出しているネコちゃんを発見できたら、ほかのネコちゃんとの接触を避けることをおすすめします。
    ただし、隔離状態に置かれたネコちゃんのストレスが増加するとFIP発症率を上げることもあるのでストレスケアも重要です。

  • ストレス管理

    ストレスが多いほど、ネコちゃんの免疫力は低下します。敏感なネコちゃんの場合は、わずかな環境の変化や少数の来客があった時でもストレスを感じますから、日常のストレス管理は非常に重要です。
    特に新たなペットを家に迎えるとき、ペットホテルを利用するとき、飼主様が引越しするときなどは大きなストレスがかかります。動物病院への通院で出かけることは健康管理上必要ですが、それ以外でネコちゃんを連れまわすことは好ましくありません。
    現在では、免疫力を上げるサプリメントも多数ございますので、有効的に活用することもお勧めいたします。