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犬の椎間板ヘルニアの治療｜切らずに治す内科的治療とは？
椎間板ヘルニアは痛みを伴い、重篤な症状を引き起こす可能性がある病気です。
特に、小型犬やシニア犬、ダックスフンドなどに多く見られるため、飼い主様にとって大きな心配事となることが多いでしょう。
今回は、椎間板ヘルニアとは何か、その症状や原因、治療方法についてわかりやすく解説いたします。
■目次
1.椎間板ヘルニアとは？
2.症状について
3.ヘルニアになる原因について
4.椎間板ヘルニアの治療方法
5.切らない内科的治療法「ステムキュア」について
6.椎間板ヘルニアの治療で注意すべきポイント
7.まとめ
椎間板ヘルニアとは？
椎間板ヘルニアは、背骨の椎骨と椎骨の間にあるクッションのような役割を果たす椎間板が飛び出し、脊髄や神経を圧迫してしまう状態を指します。
この状態が続くと、激しい痛みや麻痺など、さまざまな症状を引き起こすことになります。
症状について
椎間板ヘルニアの主な症状には、背中や首の痛み、歩行の困難、そして特に後ろ足の麻痺が挙げられます。
初期の兆候としては、犬が歩くのを嫌がったり、ジャンプを避けるようになったりすることが見られます。
病気が進行すると、後ろ足が麻痺して歩けなくなることもあり、さらに、排尿や排便のコントロールが難しくなるケースも見受けられます。
ヘルニアになる原因について
椎間板ヘルニアの原因には、遺伝的な要因や加齢が深く関係しています。特に小型犬や胴が長い犬種では、椎間板の変性が早く進む傾向があり、発症リスクが高くなります。
また、肥満や運動不足、あるいは過度の運動も、椎間板に大きな負担をかける要因となります。さらに、急な動作や事故による外傷も、椎間板ヘルニアを引き起こす一因となることがあります。
椎間板ヘルニアの治療方法
椎間板ヘルニアの治療は、症状の程度や発症の原因によって異なります。
主に内科的治療と外科的治療との2つの方法がありますが、どちらを選ぶかは、犬の状態や飼い主様の希望に応じて決まります。
＜内科的治療＞
軽度から中程度の症状の場合、内科的治療が一般的です。痛みや炎症を抑えるための薬物療法や、安静を保つケージレストが推奨されます。これにより、自然治癒が期待できる場合もあります。
また、ステムキュアなどの新しい治療法もあり、重度の症状でも内科的アプローチが可能なケースがあります。
＜外科的治療＞
外科的治療は、症状が重く、内科的治療では改善が見られない場合に行われます。手術の主な方法として、椎間板を除去する「椎間板摘出術」や、神経への圧迫を取り除く「脊髄減圧術」があります。これらの手術により、圧迫されていた神経が解放され、痛みの軽減や麻痺の回復が期待されます。手術には一定のリスクがありますが、成功すれば大きな改善が見込めます。
切らない内科的治療法「ステムキュア」について
内科的治療の選択肢として、「ステムキュア」と呼ばれる新しい治療法があります。これは、点滴や注射を通じて幹細胞を体内に投与し、損傷した椎間板や周囲の組織の修復を促す再生医療の一つです。
手術を避けたい場合や、手術が難しいケースにおいて、この治療法が特に注目されています。
ステムキュアの最大の特徴は、体が本来持っている自然な修復機能を活用する再生医療である点です。幹細胞は損傷した部位に集まり、組織の再生を促進することで、痛みの軽減や運動機能の回復が期待できます。
ただし、効果には個体差があり、すべての犬に同じ効果が表れるわけではありません。そのため、この治療法を検討する際には、獣医師と十分に相談することが大切です。
椎間板ヘルニアの治療で注意すべきポイント
椎間板ヘルニアの治療では、早期発見と適切な治療が何より重要です。もし症状が見られたら、すぐに獣医師に相談して正確な診断を受けることが大切です。
治療後もリハビリや体重管理、適度な運動を続けることで再発を防ぐことができます。
また、犬に過度な負担がかからないように、日常生活の環境を整えることも重要です。例えば、滑りやすい床を改善したり、階段や段差を避ける工夫をしたりして、愛犬が快適に過ごせるよう心がけましょう。
まとめ
犬の椎間板ヘルニアは、痛みや麻痺といった深刻な症状を引き起こしますが、早期に発見し、適切な治療を行うことで、多くの場合改善が期待できます。
治療方法には、手術を含む外科的治療や、ステムキュアなどの内科的治療があり、愛犬の症状や状態に応じて最適な選択が可能です。愛犬の健康を守るためにも、定期的な健康チェックと、日々のケアを大切にしていきましょう。
姫路動物病院
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＜参考文献＞
*世界初の犬を対象とした動物用再生医療等製品 「ステムキュア ®」について
https://bio-edu.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/BioTech2022_春号-03_バイオ技術最前線.pdf