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猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)について(モルヌピラビル、ムティアン)

猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)は、猫コロナウイルス感染による疾患です。進行が早く、高い致死率が特徴で、長いこと不治の病とされてきました。しかし最近では治療薬が登場し、効果が報告されています。

今回は、猫のFIPについて詳しく解説します。

FIPの特徴

FIPは①ウエットタイプ(滲出型)②ドライタイプ(非滲出型)③両方の特性を併せ持つ混合タイプに病態が分かれ、ウェットタイプとドライタイプいずれも初期は発熱・食欲不振などの症状が現れます

進行すると、それぞれ下記のような症状が現れます。

 

ウエットタイプ:腹水の貯留による腹部膨満や、胸水の貯留による呼吸困難がみられます。多くは40°C近く発熱し、食欲不振・元気消失・体重減少などもみられます。

また、ドライタイプよりも進行が速いという特徴があります。

 

ドライタイプ:肝臓・腎臓に肉芽腫と呼ばれるしこりができ、それに伴い臓器不全や、神経症状(運動麻痺や痙攣)が起きます。眼に病変が起こることもあります。

 

混合タイプ:ドライタイプの特徴とウェットタイプの特徴が両方あり、どちらが先に症状として現れるかは個体差があります。

 

原因

猫の多くが猫腸コロナウイルスを保有していますが、ほとんどが無症状、もしくは軽微な下痢で済みます。しかし何かのきっかけで、猫腸コロナウイルスがFIPウイルスへと遺伝子変異を起こし、本疾患を発症します。ウイルス変異のきっかけはストレスや免疫力の低下などが考えられていますが、解明されていません。

 

診断方法

臨床症状や血液検査の結果を総合的に判断し、診断されます。

猫コロナウイルス抗体価を調べる検査もありますが、猫腸コロナウイルスとFIPウイルスの両方に反応するため、抗体価が高いからといってFIPと確定診断することはできません。

 

胸水や腹水を採取し、抗体検査や遺伝子検査に用いることでより正確に診断を下すことができます。または、血液中のAGP(タンパク質の一種)とSAA・タンパク分画を測定することでFIPかどうかを診断することも可能です。

 

加えて、レントゲン検査、エコー検査、眼圧測定も行います。

 

治療について

従来、FIPに根本的な治療法はなく、できることは対症療法のみでしたが、近年、治療薬が登場しました。しかし、治療薬は日本でまだ未承認の薬のため高額であり、扱っている動物病院も限られているという課題があります。

 

FIPの治療薬については現在情報が錯綜していますが、「治療すれば助かる命なら、全力で助けたい」という思いから、姫路動物病院ではMUTIAN(ムティアン)協力動物病院として猫のFIP治療に力を入れております。愛猫のFIPでお悩みの際は、当院までご連絡下さい。(なお、ムティアンは84日間、毎日飲ませる必要がありますが、飲ませられない子は注射タイプもあります)

 

加えて、ここ最近では人間のコロナ治療薬として使うモルヌピラビルを猫に対して使用しております。こちらに関してもご相談ください。

 

予防法や注意点

FIPに有効なワクチンはなく、予防は困難です。

しかし、ストレスが発症に関与していること、またショップの子猫に発症が多いことから、できるだけストレスの少ない生活をさせ、密飼いを避けることで発症リスクを下げられると考えられます

また、猫コロナウイルスは猫の糞尿や唾液から感染するため、手洗いやトイレのこまめな清掃を行いましょう。

 

早期発見、早期診断が重要ですが、確定診断を待っていると症状があっという間に悪化しますので、見切り発車でも早めの治療をおすすめします。

 

猫のFIP治療についてはこちらから

 

参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8705141/