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SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?|マダニ対策と動物病院での感染予防のポイント
近年、動物病院での感染症対策の重要性がますます高まっています。
そのなかでも、「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」は、マダニを介して人や犬・猫などの動物にも感染する可能性のあるウイルス性の疾患として注目されています。
この病気の名前を初めて聞く飼い主様もいらっしゃるかもしれませんが、厚生労働省の発表によると、毎年全国で一定数の患者が報告されており、今年もすでに複数の死亡例が確認されています。そのため、動物医療の現場でも決して見過ごすことのできないリスクとなっています。
今回は、SFTSについて飼い主様が知っておきたい基本的な情報とともに、当院が行っている感染症対策、そしてご家庭でできる予防のポイントを解説します。

■目次
1.SFTSとは?|マダニが媒介するウイルス感染症の基本知識
2.どんなときに感染するの?
3.動物病院での安全対策|安心して通院していただくために
4.SFTS予防|愛犬・愛猫を守るために、毎日の習慣からできること
5.よくある質問(Q&A)
6.まとめ|飼い主様と病院が一緒に取り組む「安心の診療環境づくり」
SFTSとは?|マダニが媒介するウイルス感染症の基本知識
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:重症熱性血小板減少症候群)は、マダニを介して感染するウイルス性の病気です。
2011年に中国で初めて報告され、日本では2013年に初の感染例が確認されました。
人が感染した場合は、マダニに咬まれてから6日〜2週間ほどの潜伏期間を経て発症することが多く、以下のような症状が現れます。
・発熱
・食欲の低下
・嘔吐、下痢
・血小板の減少
これらの症状が重くなると、命に関わることもあるため注意が必要です。
<日本国内での発生状況>
SFTSは、これまで主に西日本を中心に発生してきましたが、最近では関東地方やそれ以外の地域でも散発的に報告されています。
つまり、全国どこでも注意が必要な感染症だといえます。
また、人だけでなく、犬や猫といった身近な動物もウイルスを保有している可能性があり、動物医療の現場でも日々の感染対策が欠かせません。
こうした情報を知ると、不安になってしまう飼い主様もいらっしゃるかもしれませんが、SFTSは正しい知識をもとに冷静に対処することで、予防可能な病気でもあります。むやみに怖がるのではなく、日常のなかで「気をつけるべきポイント」を理解しておくことが大切です。
<犬や猫の感染と注意点>
犬や猫がSFTSウイルスに感染した場合、無症状のまま経過することが多いとされています。
しかし、発症した場合には命に関わる重い症状が現れることがあり、注意が必要です。
特に見られる症状には、次のようなものがあります。
・元気がなくなる、ぐったりする
・食欲が落ちる
・嘔吐や下痢
・発熱
・けいれん、ふらつき
・黄疸(目や口の粘膜が黄色っぽくなる)
発症時の致死率は、犬で約25〜40%、猫では約60〜70%と非常に高く、特に猫では急激に悪化するケースもあるため、早期の対応が命を左右することもあります。
また、たとえ無症状であってもウイルスを保有している可能性があるため、飼い主様やほかの動物への感染リスクにも注意が必要です。
どんなときに感染するの?

SFTSは、以下のような経路で感染することがあります。
・マダニに咬まれることによる直接感染
・感染した動物の体液、血液、排泄物、嘔吐物などへの接触
・感染動物に咬まれたり、引っかかれたりすることによる感染
犬や猫が発症することはそれほど多くありませんが、ウイルスを持ったまま症状が出ないこともあります。
そのため、見た目では気づかないうちに、触れた際に飼い主様へ感染するリスクが生じる可能性もあるため注意が必要です。
動物病院での安全対策|安心して通院していただくために
SFTSへの感染リスクを完全にゼロにすることは難しいものの、適切な対策を行うことでリスクを大きく減らすことは十分に可能です。
当院では、飼い主様と犬や猫が安心してご来院いただけるよう、以下のような感染対策を徹底しています。
・マダニが付着している可能性のある動物については、問診を強化
・感染症が疑われる場合は、一般の診療室とは別の部屋で対応
・診療室・待合室の定期的な消毒と換気の実施
・スタッフによる手指衛生の徹底と、マスクや手袋などの適切な使用
・診療後の器具は洗浄・消毒を徹底し、常に清潔な状態を維持
また、飼い主様にもご協力をお願いしております。
受付の際に体調不良の症状がある犬や猫についてお知らせいただくことで、状況に応じて速やかに隔離対応を行う体制を整えています。
当院では、「院内感染のリスクをできる限り抑えながらも、必要な診察・治療の機会を逃さない」ことを大切にし、日々の診療を行っております。
感染が心配だからといって、来院を控えることで病気の早期発見や治療のチャンスを逃してしまっては本末転倒です。
正しい知識と対策のもと、安心してご来院いただくことを私たちはおすすめしています。
大切なご家族の健康を守るためにも、何か気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
SFTS予防|愛犬・愛猫を守るために、毎日の習慣からできること
SFTSの予防には、飼い主様の日頃のちょっとした心がけがとても大切です。
以下に、今日から始められる予防のポイントをまとめました。
◆散歩や外出後はマダニチェックを習慣に
お散歩のあとは、マダニが付いていないか体をチェックしましょう。
特に以下のような部分はマダニが付きやすいので、丁寧に見てあげてください。
・耳の裏
・足の付け根
・脇の下
・しっぽの付け根 など
見つけた場合は、無理に取ろうとせず、動物病院にご相談ください。
◆ノミ・マダニ予防薬は定期的に
マダニ対策としてもっとも効果的なのが、動物病院で処方される予防薬の使用です。
市販の製品もありますが、病院で処方されるお薬は安全性と効果がしっかり確認されているものですので、獣医師の指示に従って定期的に使うようにしましょう。
◆草むらや山林など、マダニが多い場所は避ける
春から秋にかけては、特にマダニの活動が活発になる時期です。
散歩コースを選ぶ際は、草が生い茂った場所や山林など、マダニが多く潜んでいる場所には近づかないようにすると安心です。
◆野生動物や野良猫には触れないように
野生動物などにはウイルスが潜んでいる可能性があります。
やさしさから手を差し伸べたくなるかもしれませんが、不用意に触れないことが大切です。
特にお子さまにも、触れないよう伝えてあげましょう。
ちょっとした心がけが、愛犬や愛猫、そして飼い主様ご自身の健康を守ることにつながります。
過度に神経質になる必要はありませんが、日々の積み重ねが大きな安心につながる第一歩です。
よくある質問(Q&A)
Q.ノミ・マダニ予防薬を使えば、人への感染も防げますか?
A.ノミ・マダニ予防薬は、愛犬や愛猫にマダニが付着したり吸血したりするのを防ぐ働きがあります。
その結果として、マダニが室内に持ち込まれることを防ぎ、飼い主様が咬まれるリスクも減らすことができるため、人への感染予防にもつながります。
ただし、予防薬を使っていても人への感染を完全に防げるわけではありません。
草むらや屋外での活動後は、肌の露出を減らす、シャワーを浴びる、衣類を確認するなど、ご自身の予防もしっかり行いましょう。
Q.マダニを見つけたときは、どうすればいいですか?
A.マダニを見つけても、無理に引き抜こうとするのは避けてください。口の部分が皮膚に残ってしまい、炎症や感染の原因になることがあります。
見つけた際は、できるだけ早く動物病院にご連絡いただき、適切な処置を受けてください。
また、マダニに触れるときは素手で触らず、ティッシュや手袋などを使うようにしましょう。
まとめ|飼い主様と病院が一緒に取り組む「安心の診療環境づくり」
SFTSはまだ分からないことも多い感染症ですが、正しい知識と日常的な対策があれば、過度に恐れる必要はありません。
当院では、愛犬・愛猫の健康を守るだけでなく、飼い主様ご自身の安全にも配慮した診療体制を整えています。
私たちが大切にしているのは、「不安だから受診を控える」のではなく、「必要なときに、安心して診てもらえる環境」をつくることです。
これからも、感染症への備えをしっかりと続けながら、地域に寄り添った診療を心がけてまいります。
姫路動物病院
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