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犬の糖尿病について|食欲旺盛なのに痩せてきたら要注意
犬の糖尿病は中高齢での発症が多く、多飲多尿やよく食べるのに痩せてくるといった症状がみられます。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンの不足や作用低下により、血糖値を下げる機能が損なわれ、結果として高血糖が持続し、尿中に糖が排泄される(尿糖)病気です。インスリン注射や食事療法による治療を行いますが、併発症を引き起こすことが多いという特徴があるため、早期発見・早期治療が大切です。
今回は、犬の糖尿病について原因や症状、治療方法などについて解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
インスリンは血液中の糖を細胞に取り込む役目を持っています。このインスリンの作用が弱くなったりインスリンの分泌量が減ったりすることで糖尿病が起こります。
犬の糖尿病の原因は明確にはわかっていませんが、肥満によるインスリン抵抗性、血糖値を下げるインスリンの分泌量の低下、遺伝的要因や、膵炎、ステロイドなどの薬物の長期投与が主な原因と考えられています。
さらに、他の病気が原因で二次的に糖尿病が発生することもあります。
症状
代表的な症状は、たくさん水を飲んで薄いおしっこをたくさんする「多飲多尿」や、「よく食べるのに痩せてくる」というものです。
その他の代表的な症状としては、嘔吐や食欲の減退などが挙げられます。
また、尿路感染症や腎臓病、肝臓病、白内障、網膜障害などを併発することもあります。
診断方法
主に血液検査と尿検査を行うことで診断します。
血糖値が著しく高く、尿中に糖が出ている場合に糖尿病と診断されます。
治療方法
犬の場合はインスリンの分泌量が減るタイプの糖尿病が多くみられるため、インスリン注射(当院では「プロジンク」という動物用のインスリン製剤を使用)と食事療法によって血糖値をコントロールします。
治療を始める際は数日間入院し、数時間ごとに血糖値を測定することで必要なインスリン量を検討します。インスリン量が決まったら通院治療へ切り替え、ご自宅で飼い主様にインスリン注射を行っていただきます。
また、元気や食欲が低下している場合には入院による集中治療(点滴や投薬、インスリン注射など)を行います。そして状態が安定した後にインスリン量を決定する検査を行い、通院治療へと切り替えていきます。
ちなみに、インスリンの適切な量を決めるには血糖値の変化を詳しく調べる必要があります。しかし、細かな間隔で測らなければならないため、ペットの体に大きな負担がかかってしまいます。そこで当院では「FreeStyleリブレ」という小型センサーをペットの体につけ、採血不要でご自宅でも簡単に血糖値を測る方法を採用しています。
予防法やご家庭での注意点
糖尿病の発症を完全に予防することは難しいものの、肥満にならないよう体重と食事を管理することが大切です。適度な運動を心がけ、脂肪や炭水化物の摂り過ぎには気をつけましょう。
また、糖尿病は合併症を誘発しやすいため、日頃より愛犬の様子をよく観察し、体重が減ったり、飲水量が増えたりなどの変化がある場合は、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
日々のインスリン注射は大変だと思いますが、血糖値をうまくコントロールすることができれば、愛犬とより長い時間を共にできます。また、こまめに血糖値を測定したり、食事や排尿の内容などを記録したりしていただくことで、すぐに愛犬の異常に気づけるでしょう。
このように、糖尿病治療は飼い主様のご協力が不可欠となります。負担を感じることもあるかと思いますが、お困りのことやよくわからないことなどがあれば、ぜひ当院までご相談ください。
姫路動物病院
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